聖書―神のことば

レクチオ・ディヴィナ、聖なる読書の風景
レクチオ・ディヴィナ

 ナスチカ生活は神のことばを聞くための生活様式です。神のことばを聞き、守るのは、信仰共同体の主なつとめです。申命記6章は神の掟を守るイスラエルの使命を強調しますが、同様に、ベネディクトも戒律の冒頭で、「聞け、わが子よ、師の教訓に心の耳を傾けよ」と表現して、共同体は神のことばを聞き、実践することが命であることを明らかにしています。13世紀以降に発達した神学的、倫理的、教理的な面からの理論的なアプローチよりも、旧約聖書と新約聖書の神のことばの中に、生活の生きた導きを見出そうと努めます。初代教会が復活のイエスとの出会いを求めて、聖書に親しんだように、ごく素朴な形の聖書読書法を実践しています。これは伝統で、レクチオ・ディヴィナと言われ、“聖なる読書”と訳されています。新旧両聖書の神のことばを、神の語りかけを待ちながら、ゆっくり読みます。時として、祈りながら立ち止まり、いただいた霊感をノートします。

 こうして、神のことばを食しながら、心の渇きがいやされるように努めます。聖なる読書は、このように、祈りと読書を合わせて神のことばを聞く読書法です。神との対話を神のことばを通して、実践しますが、これはわたしたちにとって、神のことばを自分のうちに受肉させる努力です。本院では夜課の後、4時半から625分までの間に、一時間半をかけます。この読書の主流は聖書中の神のことばですが、教父の著作、聖書神学、霊性神学なども聖なる読書の中に入れています。